ZOOM反対尋問研修
司法修習が自宅待機になったということもあり修習生向けのzoomセミナーがちらほらと開催されています。
これまでいくつか参加させていただいていますがありがたいかぎりです。
弁護士の方々が無償で自発的にやってくださるものが多く助かっています。
画像は本文と関係ないラーメンです。
その中でK-Ben NextGenさんが主催する第3回オンラインセミナー『おうちで法廷技術~反対尋問編~』(zoom又はYouTube)に参加しました。
K-Ben NextGenさんはホームページK-Ben NextGen とは – K-Ben NextGenによると
次世代の刑事弁護を担う熱心な若手弁護士数名で発起し,2020年に発足し…
1 若手弁護士同士の技術向上・交流
2 刑事司法に関する正しい情報の提供
3 日本の刑事司法を変える!
を活動目標にされてる団体です。
セミナーは20:00〜21:00で講義、21:00〜22:00で刑事弁護トークと称して受講者の質問に答えていただきました。
内容としては、反対尋問におけるポイント、反対尋問の目的(弁論のためということでしたが)などを抑えながら、実演も交えて分かりやすかったです。白表紙や修習中の講義の復習になりました。
講義もさることながら、後半の刑事弁護トークは興味深く面白く拝見しました。
刑事弁護士の意識や他の弁護士の方との情報共有、相場感など実直な感想が聞けて非常に良かったです。
ただ、修習生向けのzoomセミナーは弁護士の方が任意に開いてくださっているもので、司法研修所や弁護士会が公式に開いているのです。そのため、情報収集としてSNS等くらいしか頼らず、私も5月上旬頃までのzoomセミナーは逃してしまいました…
今後もこのようなセミナーが広まると修習生は助かりますし、(友達がいない私は)なんとか情報収集に努めたいと思います。
読書〜ヴェニスの商人と宗教と哲学の本〜
緊急事態宣言のために余儀なく自宅学習となりました(このことはいずれどこかで書ければ良いと思っています)。
相当に時間が余り読書したので、その一部を紹介しようかなと思います。
画像は本文と関係ないラーメンです
超有名シェイクスピアの戯曲です。
大学卒業まで全くといっていいほど読書をしてきませんでした。日本や世界の名作についての知識が欲しいなと思っていたところ、たまたまブックオフで100円だったので購入しました(修習生にお金はないのです)。
物語は大きく分けると、バサーニオの求婚でポーシャの父の残した箱えらびの問題、あとは裁判の2つです。
この裁判は、ポーシャが上手く機転をきかせたものと描かれてますが、私から見ると論理破綻していて到底認められる主張ではないと…クソ裁判だなと感じました笑
公序良俗違反じゃん!いや、契約解釈が不合理!とゴリゴリに現代の司法制度に支配された脳みそが冷ややかに物語を見ていました(実際、イェーリングが法学的視点での解釈は研究されてきたとか)。
しかし、読みながらユダヤ教やキリスト教の背景知識がないと昔の物語は楽しめないと感じました。
要は私には「教養を得るための本を読む教養がない」と。これは服を買いに行くための服がないの最下位互換です)
②③「旧約聖書を知っていますか」「ギリシア神話を知っていますか」阿刀田高
入門書をネットで調べたらおすすめで出てきたので読んでみました。
「旧約聖書を知っていますか」ではアブラハムからの流れが非常にわかりやすく書いてあります。後半に創世記と特筆すべき預言者の解説をしています。事実も交え、初心者にもとっつきやすい文章でした。
「ギリシア神話を知っていますか」は、ギリシア神話のダイジェストです。時間軸の流れというよりも1章に1エピソード、ないしひとりの人物(神?)について書いてあり、読み物としても楽しめます。
④「哲学と宗教全史」出口治明
宗教はゾロアスター教、哲学はタレスから。現在に至るまで概要が掴めます。薄らとした高校世界史の知識しか持たない私でも非常に分かりやすく一冊本としては最適と思います。
それぞれ必要最小限でまとめられておりさくさく読めます。また、東洋と西洋の場所的な比較、時間の比較、宗教と哲学の関係性などポイントポイントが抑えられていると感じました。
18世紀以降は特に筆者の考えも述べられています。
哲学の延長として現在の自然科学があるように思われました。
現代において、また弁護士実務において果たして哲学や宗教の教養がどう作用するかは不明です。しかし、いずれの本も楽しく読め、良い?自宅学習期間でした。
書評〜入門刑事手続法〜
入門刑事手続法の認知度は高いのではないでしょうか?
画像は本文と関係ないラーメンです
三井先生と酒巻先生というお二方の巨匠が執筆された「入門刑事手続法」
私は過去に2回ほど読む期間がありました。しかし正直、司法修習中が1番役に立っています。
まず大学2年生の時に刑事訴訟法の入門書として読み、次に予備試験の口述試験対策として手続法を抑えるために読みました。
そして修習に向けて読みましたが…
その時にはじめてこんなに良い本だったのか!?と驚きました。
刑事訴訟の手続きの流れが必要十分にコンパクトにまとまっています。一方で刑事訴訟法の司法試験的な論点や判例について詳しくありません。
また、実務では〜と書いてある箇所が多く様々な統計も示されています。司法修習では、この部分を意識して読むと面白く、またためになりました。
そして、なんといっても刑事手続の書式が数多く掲載されていることが役に立ちます!
これまでは書式には全くといっていいほど目を通しませんでしたが、修習になると書式がある方がイメージやその都度の手続きがより深く理解することができます。
プロシーディング刑事訴訟法等を読むより、こちらを2〜3周読む方が良いのでは?と思ったり思わなかったり。プロシーディング刑事訴訟法は中途半端にまとまってる気がします…
法学部に進む必要はない〜司法試験、大学受験の勘違い〜
私は法学部出身ですが、振り返ると弁護士になるために法学部に進学する必要はないし、司法試験合格のために大きな不利益もないと思います。
私は地方の公立高校出身です。
親族には法曹関係者はいませんが、中学生の頃から弁護士を目指しており、国立大学と私立大学(センター利用のみ)それぞれ法学部のみを受験しました。
運良く私立大学に合格しそのまま進学を決意しました。
国立大学が第一希望だったので浪人も考えましたが、以下の理由から現役で進学することにしました。
・1年でも早く弁護士になりたいし、進学予定の私立大学の実績からすると弁護士になることは十分可能である
・ロースクールで第一希望だった国立大学に進学できれば良い
合理的な理由であるように思いますが、別の可能性を考えておらず、またアドバイスをくれる人が周りにいなかったことは、今から考えると非常にもったいなかったなと思います。
私の大きな勘違いは
・法学部の授業をしっかり受けていれば司法試験に合格する。司法試験は法学部の授業の延長
・司法試験予備試験は合格難易度がS級(上位で東大に入るような人じゃないと受からない)。そのためロースクールに入るのはマスト
ということです。
まず、司法試験、予備試験の受験勉強の中心は自学でした。私は大学時代に法学部の授業の出席率は3割程度でした。授業も自学の復習程度の内容であり、出席する必要はないと感じました。確かに大学の授業の延長に司法試験はあると思います。しかし、42.195キロのマラソンに例えると、大学の授業は司法試験というマラソンの5〜10キロ程度の指導にとどまると実感しました。残りの30キロ超の走り方は自分で補わなければなりません。一方で大学の成績は上位であったと思います。これは、日々の自学がそのまま実力として血肉になっていたからです。
その大学の法学部の授業がいいから司法試験の実績が良いのだと勘違いをしていました。もちろん、ゼミなどで詳しく勉強できるか否かや学問的観点から研究できる環境かはその大学の法学部に依存してきます。しかし、単に司法試験に受かるかどうかであれば大学や学部はそれほど関係がないと思います。
そして、予備試験についても難易度は思っていた(東大の中でも上位でなければ合格できない)ほど高くはなかったのです。大学時代は1日平均2〜3時間の勉強時間でした。確かに試験直前の1、2ヶ月は10時間以上勉強しましたが、3、4年継続して2〜3時間の勉強を続ければ十分受かりうる試験なのです。
以上からすると、他学部でも予備試験に受かることは十二分に可能であり、司法試験に合格するために法学部に進学する必要はありません。
また、学部在学中に予備試験に受からなくても未修者としてロースクール進学は可能です。未修者の方が合格率が低いのは、単に学部時代に司法試験に向けた勉強をしてこなかった人が多いからではないかと私の周りの人の体験からも推測されます。未修者に進むことが茨の道であるとは考えられません。
振り返ると、私は法学部に拘って受験勉強をしていましたが、高校時代は理系科目の方が得意でした。弁護士になりたい→法学部に入らなければならない→文系に進もうという思考課程だったのです。理系学部を受験して理系の素養もあったほうがむしろ弁護士になってから有利であるのではないかと思います。
前述していますが、学問的に法律を研究したいという考えもあるのであれば話が変わってくる場合も多々あります。
しかし、やはり弁護士になりたい、法曹になりたいだけであれば受験については法学部だけでなく可能性を広げて考えてみてもよいのではないかと思います。